ウールのサステナビリティ - 環境に優しいファッションの未来
地球環境保護に対する社会意識が益々高まる中、ウールがいかに"自然なもの"であり"環境負荷の少ないエコ素材"であるか、その優れた特性が見直されつつあります。
ウールは人と動物の関わりの中で長年育まれてきた自然の資源であり、その生産プロセスは環境に優しく、製品は人の身体をやさしく包み込みます。
今回は、ウールを利用したサステナブルな取り組みを行っている日本毛織株式会社の活動について紹介します。
サーキュラーエコノミーと日本毛織株式会社
日本毛織株式会社 衣料繊維事業本部は、循環型経済「サーキュラーエコノミー」を推進しています。
毎年羊が生み出すウールを利用し、地球環境への負荷が小さいことの証明、服から服を再生産する循環型製品の開発、未利用羊毛の再資源化など、さまざまな資源循環の取り組みを展開しています。
これれらの活動は、「サーキュラーエコノミー」を推進し、地球環境の保全と済の成長を両立させることを目指しています。
これは、資源の有効活用と廃棄物の削減を通じて、持続可能な社会を実現するための重要な取り組みの一つです。
それでは、その活動の一部をご紹介します。
ウールの生分解性実験
ウールが海水中で生分解することを実証する実験を行っています。
近年、洗濯などにより衣類から脱落した繊維や破片によるマイクロプラスチック海洋汚染の懸念が高まり、海水中での生分解性への関心が高まっています。
そこで、神戸市立栽培漁業センターの協力で、海水中での生分解性実験を実施しました。
ウール交撚糸「NIKKE AXIO」を使ったTシャツを海水に150日間浸漬させたところ、ウール部分のほとんどが生分解されることが確認できました。
これは、ウールがマイクロプラスチック汚染の解決策となる可能性を示しています。
羊毛100%の有機質肥料「ラナリン」
羊毛100%の有機質肥料「ラナリン」をつくりました。これは、神戸市立六甲山牧場で毎年行われる羊の毛刈りで出た利用できない部分を集めたもので、果物や野菜の栽培に適しています。
ラナリンには10%以上の窒素成分や18種類ものアミノ酸が含まれており、これらは植物の成長を助ける重要な栄養素です。現在、肥料の効果を検証するための育草試験を実施しています。
また、日本毛織株式会社がオーナー制度として参画している神戸ワイナリーでは、ブドウ樹に「ラナリン」を施肥して、ニッケ社員が手摘みしたブドウからワインを製造する取り組みも進めています。
循環型学生服プロジェクト
卒業生の制服を回収して再生させる「循環型学生服」プロジェクトを開始しました。これは、ウール混の学生服を原料の状態まで戻し、糸から再生させる取り組みで、日本初の試みです。
このプロジェクトは、廃棄物を削減し、環境負荷を低減するだけでなく、学生たちに卒業生の想いを感じ取り、母校への愛着を高める機会を提供します。
また、この取り組みが学校教育の現場において、環境配慮というテーマについて考えるきっかけになることを期待しています。
ウールのサステナビリティは、地球環境にやさしいファッションの未来を示しています。
ウールを利用したサステナブルな取り組みを行うことで、地球環境の保全と経済の成長を両立させることが可能となります。
ウールのサステナビリティは、私たちが地球環境を守るための重要な手段の一つになるのではないでしょうか。