ウールの歴史|「NIKKEの生地作りの歴史」とメリノウール
明治29年創業。遡ること1896年、洋服文化の普及期。
日本の近代洋装文化発祥の地と云われる神戸で創業したNIKKEは、現在まで120年以上の永きに渡り、一貫してウール製品を国内外に提供して参りました。NIKKEの歴史は、日本のウール生地づくりの歴史とリンクします。
ウールは、今でこそ広く知られ一般的に衣類に使用されていますが、人類の歴史と共に、長い間をかけて衣類に最適な繊維へと進化してきました。
特に現代では、メリノウールと呼ばれる種類のウールが良いものとされています。メリノウール特徴はなんと言ってもその白さと繊維の細さです。
白いウールは様々な発色の良い色に染めることができます。大昔は、茶色やグレーの羊ばかりであったことを考えると、様々な色に変えられる夢のような繊維です。
一方で細さは、チクチクを軽減し、薄く繊細な生地を創ることができるため、薄手の上質なセーターやスーツづくりには欠かせません。
そもそもウールは「羊が生やす毛」のことです。
衣料品に使用される上質なメリノウールの多くは、オーストラリアやニュージーランドに代表される、湿気が少なく寒暖差のある広大な自然の中で育くまれます。
他にも、カシミヤやモヘア等、動物から取られる毛には様々な種類があり、その用途に応じて現在も世界各地で飼育されています。
メリノウール『今さら聞けないウール素材完全版』動物の種類から特徴まで解説
メリノ羊は、自然に毛が抜け落ちないように品種改良されているため、年に1回の毛刈りが必要です。
飼育環境を整備し、適切に羊を飼育することは人間の責任で、自然に育まれた羊から「毛」を頂いている、天然繊維です。
メリノウールは、人間が享受する目的として、保温などの機能性、社会性、ファッション性など、着用する人の目的に合わせて使用され、衣服となります。
着用シーンに合わせてからだに馴染み、心地よさや、ゆっくり落ち着けるリラックス感、そっと包み込まれている安心感を提供してくれます。
今回は、そんなメリノウールの歴史について紹介します。
ウールの歴史
羊と人間との関わりは古く約8000年以上にもさかのぼるといわれています。
紀元前6000年頃に中央アジアで牧羊が始まり、紀元前2200年頃メソポタミア南部のカルディア人が、刈り取った羊毛で初めて毛織物を作ったといわれています。
その後、古代エジプトやギリシャ、ローマへと伝わり、より良質の毛(羊毛)を取るために人々は、羊の品種改良に努力を重ねました。
その後、上質なウールであるメリノウールが誕生します。
アパレル用として現在、最も代表的な「メリノ・ウール」は、12世紀の大スペイン帝国で生まれました。
スペインは、優れた羊の品種改良技術を持つローマと北アフリカの牧畜民族ムーアの支配が長く続き、このおかげで良質の羊の改良に成功。純白で縮れが多く細い「スペイン・メリノ」が誕生したのです。
メリノ羊は、スペイン大航海時代を築く莫大な富をもたらしました。国王はメリノ羊の輸出を法で禁止。
しかし、国王自身がフランスやオランダにメリノ羊を贈ったことが後の「南アフリカ・メリノ」→「オーストラリア・メリノ」へと発展していきます。
1797年、スペインの有名なロイヤル メリノ フロックから派生した最初のメリノ羊がオーストラリアに持ち込まれました。
羊は18世紀までは、王様や貴族たちの大切な所有物であり、毛織物は庶民には手の届かない憧れでした。
それが18~19世紀にかけてのイギリスで起こった産業革命により羊毛工業が飛躍的に発展。一般の人々にも毛織物が普及しました。
世界有数の羊毛生産量を誇るオーストラリアに羊が持ち込まれたのは1797年。英国の植民地だった頃で、英国陸軍大尉ジョン・マッカーサーが南アフリカからスペイン・メリノを8頭買い付けたことが始まりだといわれています。
以来、このメリノ羊をもとに世界最大の牧羊王国へと発展。豪州の羊の75%はメリノ種で、アパレル用に最適なソフトでしなやかな純白のウールを産出し、世界に供給しています。
日本の羊毛工業の歴史
日本人にとって羊は、あまりなじみのある動物とはいえません。これは湿度の高い日本の気候が羊の牧畜には向いていないためです。
しかし、古来日本は羊とのつきあいは古く、十二支のなかに登場したり、江戸時代の火消しの羽織に使われたりと意外なところで関わりがありました。
日本の羊毛工業の歴史は、まだようやく145年ほどに過ぎません。
江戸時代までは南蛮貿易に頼って羊毛を入手するしかなく、江戸末期の寛政二年(1800年)に、羊の家畜化などの試みがなされましたが、成功には至りませんでした。
毛織物が国内で生産されたのは、明治に入ってから。鎖国がとかれ、外国製品の輸入が増加。特にヨーロッパからの官制・軍制の導入によって洋服の需要が高まり、羊毛製品の需要を拡大させました。
明治8年(1875年)、当時の内務卿・大久保利通が中心となり、下総に羊の大牧場を開設しますが失敗。
しかし、明治12年(1879年)、日本で最初の近代的毛織物工場・官営の南千住製絨所が開設されました。この工場は昭和20年まで日本の羊毛工業の発展に多大な貢献をしました。
そんな日本製ウール生地の歴史は、NIKKEの歴史と重なるところがあります。
NIKKE(日本毛織株式会社)は、明治29年(1896年)に設立されました。この頃は、洋服文化の普及期。
貿易港があり、日本の近代洋装文化発祥の地と云われる神戸で創業し、現在まで120年以上の永きに渡り、一貫してウール製品を国内外に提供して参りました。
NIKKEの歴史は、日本のウール生地づくりの試行錯誤と共にあります。
最高級メリノウール「MAF(マフ)」の誕生
そんなメリノウールをさらに進化させるため、NIKKEは1988年からニュージーランド政府の農水産相技術局と共同で、最高級メリノウール『MAF』の開発を行いました。
羊への負荷が小さく、環境にもやさしいサスティナブルな製法で、チクチク感とは反対のしっとりとした肌触りの“最高の着心地”を実現するに至りました。
最高級メリノウール「MAF」の良さを直接お客様にお伝えする場所。直営ショップ「NIKKE 1896 from KOBE」
最高級メリノウールの上質さと着心地をご体感頂きたい。
そんな一心で商品をご提供する場所を、創業の地「神戸」からスタートさせました。
ロゴに記載させれている「from KOBE」はその由来によるものです。
最高級のメリノウール原料100%を使用し丁寧に糸をつくり、その糸でしっかりと生地を織り、その生地で様々なアイテムを作っています。
セーター、Tシャツ、インナーなどより多くのシーンでご利用いただけるベーシックでカジュアルなウールウェア、スーツなどのテーラードアイテムまで、NIKKE 1896はお客様の様々な生活シーンで着用いただけるウールの衣服をご提供しています。
メリノウール衣服の良さとは
メリノウールで創られた衣服は、次のように魅力にあふれ、一年中快適でずっと着たくなるものです。
・上質な肌ざわりでゆったりリラックスできる
・汗を吸って吐くから夏もムレない、汗冷えしない
・保温性に優れていて冬もあったかい
・防臭効果があるため、においが気にならない
・環境にやさしい
NIKKE 1896のメリノウールの衣服は、上品な肌ざわりでチクチクすることが少なく、その繊維は白く滑らかです。
中でも、カシミヤよりも細い12~14ミクロンという超極細のメリノウールの肌ざわりは滑らかで一度体感すると虜になります。
メリノウールの肌ざわりのよさや自然なあったかさが、おうち時間をリラックスさせてくれるため、オールシーズンの日常着にしたいと思う方が増えています。
夏は、汗を吸って吐くためムレなくて汗冷えしません。そして、冬は保温性に優れていてからだをあったかく包み込んでくれます。
さらに、防臭効果があるため、においも気にならず、周囲の人にも気遣えるやさしさが添えられます。
そんなメリノウールは、タンパク質でできた天然繊維のため、最終的には土や海水に還る環境にやさしい素材です。
NIKKEは、日本における初めてのウールマーク認証取得カンパニー
NIIKKEは 1964年(昭和39年)に、日本でのウールマークの使用認可第1号を取得しました。
ウールマーク認証とは、製品に使われているウールが厳しい品質基準を満たし、記載通りのものであることを証明するもの。
当社NIKKEでは、ウール混率や耐久性、洗濯試験などの試験を行い、世界中のお客様のご要望に叶うウールテキスタイルをご提供し続けています。
日本におけるウールマーク認証取得ブランドとしての地位を確立したNIKKEは、品質へのこだわりだけでなく、ウール製品に対する深い愛情と理解をもって業界をリードしてきました。
目指すのは、「人と地球にやさしい未来の姿」
「上質なウールが、⼈と地球にやさしいことを、証明する」
NIKKE 1896は、ウールの“やさしさ”を伝える伝道師として、快適で上質なウールウェアをご提供することによって、“愛着がつづく⾐服⽂化”を実現します。
#1 NIKKE 1896が証明する“奇跡の機能性”
〜上質なウールが⾝体を包み込む、「いつでも快適」というやさしさ〜
⾐服内環境を⼀定に保つウールの機能性を通じて、心身ともに快適な日常生活を実現。デメリットであったウール特有のチクチクを排除した、肌⾝に着られる極上の快適性地球温暖化や異常気象で、屋内外の環境に⼤きな差が出てきている今、必然の⾐服です。
#2 NIKKE 1896が証明する“上質な装い”
〜上質なウールを纏い、「相⼿を敬う」というやさしさ〜
⼀期⼀会。その⼀瞬も⼀⽣も、相⼿を敬うための上質な装いにはウール⼀択。⼤切な場で、⼤切な⼈と過ごすひと時愛する相⼿への礼儀、敬いの⼼遣いを表す⾐服カジュアルからフォーマルまで上品でやさしい雰囲気があなたを包んでくれます。
#3 NIKKE 1896が証明する“愛着をもって永く着る⾐服⽂化”
〜上質なウールが教えてくれる「服を⼤切に着る」というやさしさ〜
ずっと着ていたくなる、快適で上質なウールウェア気にいったものを直しながらも永く⼤切に着るということそれは、⾐服の廃棄を減らし環境問題を解決するための、⼀つの答えです。⾃然と⼈と⽺の営みの中で育まれてきた⾐服⽂化は、これからも未来へとつづきます。
ご興味やご要望、ご質問など、是非お気軽に問い合わせください。