原料認証システム『ＺＱ』（ジーキュー）とは ※認証システム詳細説明
ＺＱ(ジーキュー)とは羊毛原料の生産牧場における動物の飼育、環境への配慮、社会的義務について第三者が監査し、認証するシステムです。
２００６年７月、ザ・ニュージーランドメリノ・カンパニー・リミテッド（ＮＺＭ；本部ニュージーランド、クライストチャーチ）はメリノ牧羊業者を対象に、
持続的な経済活動、環境保全、動物愛護、を前提とした牧羊活動を第三者が監査し認証するシステム、「ＺＱ(ジーキュー)」を始動させました。
牧羊業者は子々孫々牧羊業が継承されていくために、牧場の水質、土壌などの環境保全、羊の健康を第一とする飼育管理、作業の安全第一を何世代にもわたって実施してきました。
しかし、こうした努力、配慮を第三者が監査し、認証するという仕組みはこれまでありませんでした。この認証システムはＮＺＭに原料を供給するすべての牧羊業者に適応します。メリノ種の他、より太い繊度のすべての羊種も認証の対象となります。
「ＺＱ」が指定する第三者認証機関はニュージーランド農林省外郭団体Ａｓｕｒｅ Ｑｕａｌｉｔｙ（アシュア・クオリティ）です。
「ＺＱ」では牧場の水質、土壌などの環境保全、羊、牧羊犬への飼育、作業の安全に関して同社が企画立案したチェックシートに従い、牧場は作業を管理し、同社の監査を受けます。
監査は定期監査と、事前予告なしの不定期監査があります。
チェックシートには次のような項目が含まれます。
１）Animal Welfare（羊、牧羊犬の保護・健康管理）
―動物愛護に関する法律の遵守。
―ミュールジング（羊に寄生する肉蝿を避ける羊の一部皮膚切除手術）の禁止。
―水、牧草の確保。
―シェルター（風雨、風雪、日射を避ける潅木など）の確保。
―犬小屋の設置条件は適切か。
―羊、牧羊犬を輸送する際の健康への配慮。
―羊の出産ストレスへの配慮。
―羊が怪我、病気をしていないかの継続的監視。
―家畜の健康管理には登録された薬剤のみを使用すること。
―薬品の保管に関する安全管理。
―薬剤の残留を防ぐ適切な使用量、頻度の遵守。
―使用した薬剤の記録と、投与した羊群が識別出来ること。
―投与後、必要な月数に満たない羊の毛刈りの禁止。
２）Care for the Environment（環境への配慮）
―環境を保護するための妥当な手段がとられているか
環境を損なわないことをＺＱは求めています。プラスティック類やその他の牧場での廃
棄物、家畜の死体などのゴミ処理管理、栄養剤など化学肥料の適切な使用を要求します。
群れの移動は生物学的多様性に影響を与えないよう穏やかにコントロールし、群れが流
れを渡るときは河岸が崩れて水が濁るようなことの無い様、極力注意を払うこと、自然の
植物の茂みは極力そのまま活かすこと、湿原の保護、侵食の進む土地の管理などをどのよ
うに実施しているかを聴取します。
―総括的環境保護法に抵触したことはないか
環境保護法の遵守がＺＱの基本条件です。ニュージーランドの場合、環境を保護するため
の法律として、ＲＭＡ(リソースマネジメント・アクト)があります。家を建てたり、自生
する植物を取り除いたり、土を移動させたり、流れから水を取り込んだり、ゴミを焼却し
たり、なにか商業活動を始めるといった行為において、ＲＭＡはそこに存在する基本的環
境を保護し、その環境を享受する人々を守る権利と義務を、すべての人に与えようとする
ものです。
３）Social Responsibility (社会的責任)
―安全と健康を守るための努力がされているか
牧羊業を営むあらゆる点で人の安全と健康が確保されていることが求められます。事故
が発生した場合、危険度をチェックし、安全策を施し、それらをそこに従事する人に周知
徹底させます。家族、そして雇用スタッフの使用する機械類が安全であるか、また、異常
事態が発生したときの対処法などを聴取します。
―被雇用者の健康と安全に関する法律に抵触したことはないか、また雇用関係法(労働者と使用者の労働関係をめぐる法律）に抵触したことはないか。
ＺＱシステムの基本テーマはサステイナビリティ（＝百年先も持続可能な経済活動であること）とトレーサビリティ（＝原料生産者の顔が最終マーケットから見えること）です。
ＺＱは季中の競売ではなく事前の相対契約が前提です。売り手と買い手にとって原料価格の一定化が保たれ、牧羊業者にとっては将来にわたって牧羊業を営むことに確信がもて、再投資を促す状況が作り出されます。
買い手にとっては相場の変動に左右されず、必要なスペックの原料が一定の規模で確保され、また固定化された原料価格によりコスト計算が容易となります。
原料生産者と最終マーケットに接するメ―カーが契約することで、牧場から最終市場までのモノの流れが透明化（トレーサブル）されます。
ＺＱのコンセプトを背景にサプライチェーンに関与するすべての企業は、原料調達における社会的責任を達成でき、相互に持続可能な（サステイナブル）ビジネスを実現することが出来ます。
ＺＱでは、動物愛護の視点から、羊に適当なシェルター（風雨、風雪を避ける灌木など）や、日陰の確保が義務付けられています。
牧羊犬に対しては犬小屋の設置条件を設けて、居住性、健康管理への配慮が義務づけられています。
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