「愛着を持って永く着る」ウールのシワと適切なケア

「愛着を持って永く着る」、お気に入りの洋服を永く着るためには適切なケアが必要です。しかし、ウールなど、デリケートな繊維素材に関してどのようにケアをすればいいか分からない人も多いはず。シワのある服を身に着けると、大人としての気品を下げてしまいます。そこで今回は、ウールのやさしさの伝道師がウールを永く着るためのケア方法についてご紹介します。 

ウールにシワができてしまう理由とは

着用後避けて通れないのが服のシワ。大人のエチケットとして、シワのある服は必ず伸ばしてから着用しますよね。服にできるシワは主に2種類あります。①着用したときの動作によってできるシワと、②畳んだ時にできるシワです。しかし、ウールのシワは素材の特徴上、簡単に解消できます。ウールにシワができるメカニズムとウールの特性についてお話しします。 

■シワができるメカニズム

服のシワは、織物の組織である繊維のズレによって生まれます。原因はそのズレが固定されることによりシワとなります。立ったり座ったり歩いたり、日常動作の中で、服が擦れたり伸びたりすることで繊維が乱れ、体温の熱で固定されシワとなるのです。

ウールの場合は、繊維内部の分子間に水素結合(一時的)というものがあります。水素結合は水に濡れると切れ、乾燥すると繋がるもの。つまり、ウールは乾燥している状態ではほとんどシワになりませんが、水に濡れて繊維や組織が変形した状態で乾くとシワになります。

■ウールはシワが元に戻る形状記憶繊維

ウールは「形状記憶繊維」とも呼ばれています。着用中についたシワは一時的なもの。帰宅後はハンガーにかけておくと、室内で吸湿して水素結合が切れて徐々にシワが回復していきます。このように、水素結合で自然にシワを消し元の状態に戻してくれる機能がウールの特性でもあります。

お気に入りのウールの衣服、美しさを保つためのケア方法

愛着のある服を永く着るためにはケアが必要です。デリケートなウールの場合、適切なケア次第で永くいつまでも快適に着用することが可能です。普段のケアとシワができたときのケアについて、シワが出来るメカニズムを理解いただいたところで、適切なケア方法を以下よりお伝えします。 

■普段のケア

お気に入りのウールを美しいままシワなく着るために必要なケアは「洋服への愛」と「スチーム」です。

・洋服への少しの気遣い
外出先では、脱いだらハンガーにかける、シワにならないよう気遣って椅子などに掛ける。ジャケットを着て椅子に座るときは長時間背もたれに寄りかからない。帰宅後は、毎回洗濯しなくてもいいアイテム(スーツやジャケットなど)の場合はハンガーにかける。セーターなどニット製品はきれいに畳む。これだけで型崩れやしわを防ぐことができ、後々のケアがとても楽になります。一日着た洋服は、ハンガーにかけて部屋に吊るしておけば、(湿度など条件にもよりますが)ある程度シワが自然に取れていきます。

・スチーム
吊るしておいても取れないウールのシワにはスチームが効果てきめんです。
特別なスチーマーがなくても、家庭用アイロンのスチームをハンガーに吊るしたまま吹きかけるだけでOK。ウールが30%以上含まれている衣服ではシワが簡単に取れていきます。麻や綿が含まれている場合はアイロン台などの上でプレスすることをおすすめします。外出前の時間がないときも、焦ることなくさっとスチームを掛けるだけで品格を損なわずに済みます。 
目立つチリやホコリをさっと取り除くのにブラシは便利です。しかし、ブラッシングは生地によっては洋服の表面を荒らしてしまうこともあります。優しく、手短に済ませましょう。過毛並みがある場合は毛並みに沿って動かしてください。

■もっと簡単に、出張先のホテルでも

忙しい日々の中で、洋服のケアに時間を掛けられない。そんなお悩みの人も多いと思います。出張先でスチームを当てるためのアイロンがない場合も同様に使える方法です。

それは、お風呂上りの湿気の溜まったお風呂に吊るしておくことです。先述した水素結合の特徴を活かし、干す前にあえて霧吹きで少し湿気をプラスするのもいいでしょう。湿気と乾燥を利用することで元の形状に戻してくれます。湿度が高い状況で長時間おいておくことは、雑菌の繁殖や匂いやカビの発生にもつながりますので、洋服が湿気を含んだ状態になったら、換気扇でお風呂場ごと乾燥させましょう。乾きながらシワも徐々に取れていきます。 

「愛着を持って永く着ていただく」ためのサポート 

NIKKE 1896では、セルフメンテナンスサポートを行っています。お気に入りのウールを永く着て欲しいからこそ、クリーニングや普段のお手入れについてアドバイスを致します。

ウールの伝道師だからこそ、伝えられることがあります。ウールの快適性をお客様に最大限ご享受いただき、少し先の未来を見据えて、より多くの場面で永く着ていただけるよう、サポートするのがウール伝道師の役目と考えています。適切なケアを行い、大切に扱うことで愛着を持って永く着ていただきたい、それが私たちの願いです。

「服を大切に着る」ことは、地球と人への優しさに繋がる

大切にすることで永く着られるウール。愛着を持って永く着ることは衣服の廃棄問題の解決につながり、地球と人への優しさに繋がります。また、ウールの上質さと快適性は、人々の暮らしを彩り、より良くするものだと我々は考えています。ウールを知り尽くした我々だからこそ、できることがある。あなたのお気に入りの服を、永く大切に着る為のアドバイス、「簡単で、為になる」事を随時発信していきます。