着心地のいい服には、見た目では分からない理由がある
気に入って買ったのに、いつの間にか着なくなった服が、クローゼットの奥に眠っていませんか。肌触りは悪くない。サイズも合っていた。
着るたびに選んでしまう服もあります。一方で、まったく手が伸びない服。
その違いは一体どこにあるでしょう。
デザインやサイズ感には、流行があり、流行とともに着る人の気分も変わります。昔は良く着ていたけど、今は着る気分にならない。
一度そうなると、その服は20~30年後にまた着たくなる流行が来る服か、もう一生着ることのない服かに分かれます。
流行にあまり左右されない服はどうでしょうか。
シンプルなデザインで、Tシャツや、インナー類は穴があくまで着続けるものも多いのではないでしょうか。
同じ服と言っても、流行に大きく左右される服と、消費財に近く流行にも大きく左右されない服があります。
特に後者に求められるのは、着ていて違和感がなく快適かどうか、つまり「着心地」と、耐久性、価格です。
多くの方は、快適に長持ちするコスパの良いものを選びたいでしょう。
実は、着心地のよさには「生地の素材」が大きく影響をしており、見た目には現れない理由があります。その理由を知ると、選び方も変わるでしょう。
この記事でわかること
・素材が違うと、着心地はどう変わるのか
・同じ素材でも、着心地に差が出る本当の理由
・着心地のいい服を選ぶときに見るべきポイント
生地の素材が違うと、着心地はどう変わるのか
夏にコットンのTシャツを着て、昼過ぎに汗ばんだとき、生地が肌に張り付く感覚を覚えたことはないでしょうか。
あるいは、ポリエステルの服を一日着続けて、蒸れ感を感じ夕方ににおいと疲労感が残ったこと。
素材が違うと、こうした一日の快適さの積み重なり、日常に地味に影響を与えます。
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素材 |
肌当たり |
吸湿性 |
体温調節 |
消臭性 |
扱いやすさ |
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コットン |
やわらかく自然な肌当たり |
高い |
普通 |
やや低い |
洗濯しやすい |
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ポリエステル |
なめらかだが蒸れやすい |
低い |
低い |
低い |
型崩れしにくい |
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ウール |
なめらかで蒸れにくい |
非常に高い |
高い |
非常に高い |
シワになりにくい |
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シルク |
なめらかで肌に吸い付く |
とても高い |
高い |
普通 |
摩擦に弱い |
この表を見ると、蒸れやすさ・においの残りやすさ・体温の安定感に、素材ごとに明確な差があります。
たとえばポリエステルは軽くて扱いやすい反面、汗を吸わず熱がこもりやすい。
コットンは吸湿性が高い一方、一度湿ると放湿が遅く、肌に張り付く感覚が残ります。日常で感じている不快の正体が、実は素材の特性から来ていることは少なくありません。
ただし、素材の種類はあくまでも選ぶ時の大きな手がかりです。実は、同じ素材の種類でも、実際に着てみると感じ方はまったく異なります。その理由を次に見ていきます。
同じ素材なのに、着心地に差が出るのはなぜか
例えば、ウールはチクチクする、というイメージを持っている方は多いはずです。
ところが実際には、チクチクしないウールがあります。これは品質の差ではなく、繊維の太さの差です。
皮膚には外からの刺激を感じ取る感覚受容器があり、繊維が一定の太さを超えると、触れるたびに微細な刺激信号を送ります。
繊維が細くなるほどこの刺激が減り、肌は「何かが触れている」ではなく「何も気にならない」という状態になります。
特にウールは、太さの差が品質や着心地に大きく影響を与えます。
コットンはウールほどではありませんが、同様です。同じ「綿100%」でも、高級シャツに使われる超長綿と一般的なTシャツの綿では、肌刺激が異なります。
素材名は同じでも、肌が受け取る信号の量が違う。着心地の差は、そこから生まれています。
身体に寄り添った設計が、着心地を決める
お気に入りの素材の服を着ているのに、夕方になるとなぜか疲れている。
そういうことが続くなら、素材ではなく衣服の設計や縫製仕様に原因があるかもしれません。
たとえば、肩の縫い目が少し膨らんでいるだけで、腕を動かすたびに皮膚との摩擦が生じ痛みを感じることもあります。
着た瞬間は気づかないほど小さな摩擦でも、それが一日数百回、数千回と積み重なれば、夕方の疲労感として現れます。
硬く重たい素材は、重心が分散されにくく、疲労の原因を生み出します。
ウエストのゴムが当たる、袖の付け根が硬い、腕を上げたり前かがみになると背中が引っ張られる。こうした衣服設計は、着る人の体を消耗させます。
良い素材を使っても、身体の動きに連動する衣服設計がされていなければ、着心地のよさは半減します。
良い素材と良い設計は、切り離せない関係にあり、その両方が揃わないと着心地の良さは得られません。
着心地のいい服を選ぶときに見るべき3つのポイント
① 繊維の太さと密度
素材名だけでなく、どれくらい細い繊維を使っているかが肌当たりを判断する具体的な手がかりになります。
商品説明に「超長綿」「細番手」「Super X`s 」といった記載がある場合、繊維の細さにこだわった素材である傾向にあります。
一方で、肌さわりが良いほど耐久性が低くなる傾向もあるため、しっかりと密度高くつくられた生地か、確認をしましょう。
繊維が細くしっかり作られた生地は、着込むほどに体に良く馴染みます。
② 吸湿・放湿性と体温調節
汗をかいたときに蒸れるかどうか、温度変化に対して体温を一定に保てるかどうかは、一日の快適さに直結します。
素材の機能性は、着ている間ずっと働き続けてくれます。
③ 縫い目の処理とシルエットの設計
縫い目が肌に当たって気にならないか、身体の動きを妨げるシルエットや設計になっていないか。
試着できる場合は、腕を上げる・前かがみになるなど動きの中で確かめるのが確実です。衣服設計の丁寧さは、長時間着て初めて分かる部分でもあります。
良い素材と良い設計を、最初から考えているブランドを選ぶ
ここまで挙げてきた要素、繊維の太さ・吸湿放湿・消臭・体温調節・身体に寄り添った設計。
これらを選ぶ側が一つひとつ確認しながら服を探すのは、簡単なことではありません。
本来であれば、素材を選ぶ段階から設計までを一体として考えた服でなければ、これらの条件は揃いません。
生地の特性を理解した上で縫製を設計し、繊維の太さから身体への当たりまで一貫して追求する。そうした服作りは、素材から考えるブランドでなければ難しいことです。
NIKKE 1896は、日本毛織(1896年創業)の生地メーカー直営ブランドです。
羊の選定から糸作り、生地設計、縫製、販売まで約2年にわたるすべての工程を自社で一貫管理しています。
つまり、服を「仕入れて売る」のではなく、素材そのものを作る立場から服を設計しています。
だからこそ、繊維の太さが肌にどう影響するか、織り方の密度が着心地にどう関係するか、縫い目の位置が身体の動きをどう左右するかを、選ぶ側ではなく作る側の視点で語れます。
着心地のいい服を作るために何が必要かを、素材の段階から一貫して追求できる立場にあります。
扱う素材はウール。吸湿・放湿・消臭・体温調節という着心地の条件を、天然の構造としてすべて備えた素材です。
「着ていることを意識しなくなる、その感覚」は、こうした素材の選択と設計の積み重ねから生まれます。
よくある疑問(FAQ)
Q. 敏感肌でも着られる素材はありますか?
繊維が細いほど肌への刺激が少なくなります。
繊維径の細いカシミヤ・シルク・超極細メリノウールや超長綿は、敏感肌の方にも比較的受け入れられやすい素材です。
ただし素材への反応は個人差があるため、気に入る一着を試して探す必要はあります。試着をしてから購入すると失敗も少ないでしょう。
Q. 着心地のいい服は、洗濯すると風合いが変わりますか?
素材によって変わります。コットンやリネンは洗濯後に硬くなることもあります。
ウールやシルクはそもそも洗ってOKな商品か確認しましょう。洗濯表示を確認し、素材に合ったケア方法を選ぶことが長く着続けるための基本です。
Q. ウールは夏でも着られますか?
吸湿・放湿性が高く体温調節機能を持つメリノウールは、夏でも快適に着用できます。
汗をかいても蒸れにくく、においが残りにくい点も夏場に重宝される理由です。
薄手で通気性のある編み地であれば、一年を通して着られます。生地に厚みがあると通気性が悪くなるため、生地の薄さや通気性を気にして商品を選ぶとよいでしょう。
ウール×ポリエステル、ウール×コットン、ウール×リネンなど、ウールブレンドの商品も注目してみると、より選択肢が広がります。ウールが30%以上含まれていると機能性が発揮されます。
Q. ウールは手入れが大変ではないですか?
ウールはデリケートな素材ですが、正しいケアを知っていれば日常的に扱いやすい素材です。
基本的に品質表示に準じたケアをしましょう。
商品にもよりますが、中性洗剤を使った手洗い、または洗濯ネットに入れて洗濯機のドライコース(優しめ洗い)で洗うことができる商品も多く流通しています。
メリノウールは毎日洗わなくても清潔さが保たれる点も扱いやすさの一つのポイントです。
Q. 着心地のいい服は、長く着続けられますか?
素材の品質と設計の丁寧さ、正しいケアが揃った服は、着込むほどに体に馴染み、長く着続けられます。
流行に左右されないシンプルな設計であれば、年数を重ねるほど愛着が深まります。
自分にとっての「心地よさ」を知ることが、いい服との出会いになる
着心地のよさは、着た瞬間よりも、一日の終わりに分かるものです。少しの違和感が積み重なる日常着。
何を不快に感じているかを起点に素材を選ぶ。繊維の細さや設計の丁寧さを確認する。
それだけのことですが、自分にとっての「心地よさ」の輪郭が見えてくると、服選びの景色は変わります。
自分にとってのいい服は、探し続けた先に、静かに現れるものなのかもしれません。
NIKKE 1896のメリノウールのTシャツやインナーは、こちらからご覧いただけます。
NIKKE 1996 オンラインストア

